ぼくらはまちの探検隊



紫チーム

まちの時間をつかまえろ

第二回「いざ、時間空間へ(その1)」(2004年12月8日)

「今回はみんなと議論するためにいくつか写真を持ってきたで」
隊長が用意したのは、ビンテージもの(年代モノ)のジーンズの宣伝広告、オールドカーの広告などだ。なぜそんなものを用意したのか、それにはわけがある。


隊長はよく他の隊長たちと晩御飯を食べにいく。そこで驚愕すべき事実に出会った。店のマスターに、わたしたちの活動の話をしてたとき、


「あんまり建物を見て、『古い』って大きな声でいっちゃいけないよ。怒られちゃうよ」


!!な、なんだって!?わたしたちは、日本のみならず、世界各国のまちにある“古い”建物を調査して回っている。“古い”ものは“いいもの”という価値観で見ているのだ。むしろ、“古い”は、褒め言葉なのに!!だが、ここ上原ではあまり言ってはいけないという。


「なんだかオンボロみたいじゃない?」


お、オンボロ…
私の生まれ故郷は奈良の斑鳩(いかるが)だ。そこでは、古い建物はある意味少しあこがれの対象であり、ステータスだ。しかし、それにも関わらず、古い建物はどんどんなくなっていっている。実際、赤の他人は古い家を見て、
「古いおうちですねー、いいですねー」
と言う。するとそこの住人は
「そうでっしゃろー(訳:でしょー?)」
と返す。が、その『そうでっしゃろ』に隠された意味も多い。
(はよ壊して、サラピカの家に住みたいわー(訳:早く壊して、新しいピカピカの家にすみたい))
と思っている人も実際多いからこそ、新しいものが増えているのである。そういうことも知らないで、押し付けがましく古いことを賛美してはいけないということを私たちは学ばないといけないのだー。


だが、オンボロの中にも、いいものはあるのも事実だ。しかしながら、そういう価値観は、東洋の大都会・東京の山の手に住まう人たちにとっては少し縁遠いものなのかもしれない。


「よし、こうなったら、古くていいものを探すことも小学生と一緒に考えてみたい」


こうして、私は隊員たちにいくつかの写真を持っていったのである。


「みんな古いっていうイメージをどう思う?」


「えー、なんだかボロボロとかー」(あゆちゃん)
「えー、なんだかオンボロとかー」(うっしー)
「えー、なんだか汚レテルとかー」(みんな)

くー、みんな言ってくれるやないけー!
だけど、この広告を見てみてよ。


「古いジーンズといえども、こんな風に高値で取り引きされるものだってあるんだよね、あとこの車もそうだよね。古いオールドカーがイイモノなんだと一部には認められているんだよね。」


他にもこういったお金で取り引きされるもの以外にも、例えば自分自身のアルバムとかは結構大事じゃない?昔の思い出とかがつまってるものも大事だよね?


「おれんちのぬいぐるみとか、すっげー古くて大事だよ」

…え、ま、まっちゃんが…ぬ、ぬいぐるみ??まあとにかく、そうなんだ、そういうものだってあるじゃない?古いものの中に!


「俺のぬいぐるみ持ってこよーかぁー?」


い、いや…
べ、別にもってこんくていいよ。それより、そういう古いものって結構いいものもあるじゃない?まちにある、そういうものを集めるとかどうかな?だって、まっちゃんのそのぬいぐるみには、まっちゃんの思い出がつまってるんやろ??


…ん、まてよ。


「そうか、そういうやり方で時間をつかまえることができるかもしれない!古いものには時間がつまってるんじゃない??」


どうやら、そこで私をはじめ、隊員たちも何かアカルイ展望が開けたような気がしたのである。まっちゃんのぬいぐるみに感謝。