ぼくらはまちの探検隊



ピンクチーム

まちにさわろう

4日目 古い地図の見方を学ぼう

 前回の地形模型作成からはや3ヶ月あまり。班のテーマについて話し合った事は覚えているだろうか、春休みの宿題の意図を少しは解ってもらえただろうか、皆が6年生になってからの初日は、準備段階から心配が絶えませんでした。ピンク班には、今日から研究生の金谷君が助っ人として手伝いに来てもらいました。皆、よろしくね。


 一時間目は、緑班松田隊長による古い地図の見方のレクチャー。プロジェクターに映し出された東京や渋谷区、上原地区の古地図の映像に気持ち良いほどの反応を示しながらかぶりつきで見入っているピンク班の隊員達。皆相変わらず元気そうだね・・・。家庭科室に移動し各班に分かれて、実際に自分たちで古地図を使う学習を体験してもらいます。こちらも松田さんが作って下さったテキストにそって、等高線や河川、道路等に色を付けながら、100年前の地図と現在の地図の比較から、継承されているところと変化したところを発見していく、という内容のものでした。


 二時間目は、春休みの宿題を使って皆で話し合いを試みました。宿題の内容は、ピンク班が撮ったまちのデティールが、一体、まちにどのように影響を与えているのか。少し視点を引いて、「風景」について考えてもらうという内容で、渡した風景写真は一人一人異なっています。ピンク班の調査エリアは、中央を小田急線(千代田線)と井の頭通りが交差しており、駅前や高架下、井の頭通り沿いのビル街、奥まった住宅地等、性質の異なる様々な風景を見る事ができます。皆に渡した風景写真を、一枚に並べた用紙を見せて、似ている風景と似ていない風景、色が多い風景(駅前)や電信柱が多い風景(駅前、住宅地)等性質の違いを話し合いました。
 上原の風景についてより深く考えてもらうために、極端ですが京都東山区河原町の風景写真を見せて、その特徴を自由に言ってもらいました。
「緑が多い」
「マンホールが無い」
「看板もあるけどシンプル」
「建物が木でできてる。」
「道は石」
「そうだね、石畳だね。空は、上原と比べてどうかな?」
「きれい。電線が見えない」
「電柱が無い・・・?」
「電柱あるよ、でも目立たない。」
「電柱はあるけど、グレーの色が石塀や生け垣にとけ込んでいる感じがするね。道幅が狭いから、目線に入る電柱の本数が少ない、というのもあるかな。」
「じゅあ、この京都の河原町の風景は、どう思う?好き、嫌い?きれい、そうでもない?」
「きれい。」
「雰囲気がいい」
「暗そう。うす暗くて、不便そう。住みたくはない。」
「住みたくはないけど、一度行ってみるのはいいかな。」
「旅行で訪れてみたい?」
「うん、住むのは嫌だけど、見てみたい。」
「こんな風に、歴史的な風景が多く見られる京都は、それを守るために様々なルールがまちにあります。色や、素材、建物の高さなんかも。例えばこれは、ルールによって色を変えた看板の例です。」(有名ハンバーガーショップのチェーン店やコンビニエンスストア等の看板の写真を見せる)「これ、何か分かる?」
「マ○ドナルド!」「コンビニ!」
「そう、マ○ドナルドなのに、看板が赤くないね。コンビニも、普通ストライプ状に色が塗られるところが真っ白だよ。」
「ほんとだー。」
「こんな風に、当たり前で、変えられないと思うようなお店の看板も、地域のルールを設ける事でかえてしまう事ができるんだよ。次はこれ、この写真は、同じ場所なんだけど、変化しています。何が違う?」(電柱地中化を推奨する地区が描いたイメージパースの施工前、施工後の図を見せる)
「きれいになってる!」「歩道が広い!」「歩道のデザインがきれいになってる!」
「そうそう、何で広くなったのかなー。空はどう?」
「工事したから。空も広い。」
「そうだねー。何か違う事無い?」
「?・・・」
「電信柱が無くなっているんでーす。わかったー?電信柱が無いと、空が広く見えたり、歩道が広くなる他に、ケーブルが地中化する事による安全性や利便性もここでは説明されています。ここは広島の例です。」
 このように、日本には、景観を配慮するための様々なルールや工夫がなされている地域があります。皆が住んでいる上原地区はどうなのかな、皆、渋谷区の都市計画係の人に、メールで質問してみない?」
ということで、緑班や水色班がお世話になる渋谷区の都市計画係の大石さんに、ピンク班も以下の質問をさせて頂く事にしました。


1 上原地区には建物や看板等に使われる色や素材の決まりはありますか。
  (使わなければいけない色や、使ってはいけない色等ありますか。)
2 なぜ、そのような決まりがあるのですか。だれが、決めるのですか。
3 なぜ、水玉や赤い縞模様など、道によって舗装がちがうのですか。
  (上原地区の公共物<道路の舗装やガードレール、公園等>
  に使われる素材や色は、どうやって決まるのですか)
4 電信柱を置く場所はどうやって決まるのですか。
  地中化する予定は上原地区にありますか。
5 なぜ、代々木上原駅の周りには商店が多いのですか。



 そして4時間目、いよいよ外に出て、まちの表面を、紙と粘土で型取りに行きました。場所は、急な坂道の向こうに見える小田急線の線路と東京ジャーミィが印象的な坂。まず、公園から、この道を中心にした風景の特徴をノートに書いてもらいました。途中で坂が急勾配になっており、そこから滑り止めのための丸い舗装がされている事、向かって右側は主に住宅が並び、左側は工事中で白い仮囲いが並んでいる・・・等。
 まず、皆に紙を使った型取りを見せました。型を取りたいものに紙を当て、丸めたカーボン紙で上からこすります。子供の力でもきれいに模様が浮かび上がりました。次は粘土。こちらは人工物等、比較的凹凸がはっきりしたものを取るのに適しています。
「道を観察した中で、風景に影響が大きいと思うものを取ってきて」
と言っては見たものの、皆模様が面白いものを取るのに夢中。マンホールがやたら多い。
「ほら、このレンガの壁は広いから、取った方が良いんじゃない?」
「仮囲いは?」
「隊長ー、仮囲いはつるつるで型がとれないよー。」
型取り初日は試行錯誤でしたが、皆予想以上に上手に取れていたので、明日も期待十分。
今日はお疲れさま。