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阿部 健一(ABE Ken-ichi)
学年:
研究員(総合地球環境学研究所・教授)
研究テーマ:
『ジャカルタのコンビニとベンケル・マジック』
コメント:
インドネシアの首都ジャカルタでは「ベンケル・マジック」と書かれた看板をけっこう目にする。道具を使わず、魔術で自動車を修理する工場のことらしい。高い塀に囲まれ中の様子はわからない。看板には、例外なくBLITARという町の名も書かれている。この町のはずれの山の中に、力を持った呪術師がいて彼の元で「修業」をするらしい。近代文明の象徴のような自動車と近代が否定したはずの魔術との出会い。真偽のほども含めて、ずっと調べてみたいと思っていた。
一方、疑いようのないジャカルタの現実が、ここ数年のコンビニの拡大。日本型の消費のありかたは、アジアの巨大都市と相性がいいようだ。ジャカルタのコンビニがどのような品揃えで、どのような人が利用していて、これかからどうなってゆくのか興味がある。
これまでの熱帯林の研究をしてきた。ジャカルタという都市は、熱帯林に調査に赴くときに、長くは滞在したくない通過点だった。
ところが村松教授と出会い、都市研究に目覚めましてしまった。180度どころか、4回転半くらいしたような気分。今年、手始めにバングラデシュの首都ダッカに同行したが、30年間の海外調査ではじめてひったくりにあい、カメラを奪われた。都市研究ではまったくの初心者であることを思い知らされた。
何をどのように調べるのか、やってみなければわからない。熱帯林の生態系以上に同じように都市の仕組みと機能は複雑である。理解するためには、まずとっかかりが必要だ。コンビニとベンケル・マジックは、ジャカルタという都市を理解するための僕なりのとっかかりである。
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