2009年度 都市とは何か?:都市=環境から見た人類1万年の歴史
講義の目的と目標: |
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都市は、現在、急激に拡大しつつあり、世界の全人口の半分以上が都市に住むようになりました。自然増もありますが、非都市から都市への人口流入がより顕著です。都市で享受できる経済的、健康的、知的快適性が、非都市より勝っているからでしょう。しかし、そのために、都市内部の環境はかえって悪化し、さらに地球全体へのさまざまな負荷が巨大になってきています。二酸化炭素の増大による地球温暖化はもとより、水、食料、森林、生物多様性などの自然資源の大量消費からくる枯渇問題、そして、大量に排泄される有害物資、ごみなどによる環境、人体への汚染も際立っています。
都市や建築の歴史を考究したり、関心を有したりしている私たちにとって、この都市が地球環境へもたらすインパクトに対してどのような態度で臨むべきなのでしょうか。ひとつは、自らの研究の範囲を狭く限定し、過去に閉じこもって、現実を見てみぬふりをすることです。建築史、都市史の社会的使命はあくまでの過去であり、不確実な未来に対して何かいうことは、学問の役割ではない、と開き直ることもできるでしょう。もうひとつは、都市史、建築史が有する歴史的視線を研ぎ澄まし、総動員することで、なんとか果敢にこの危機的状況を打破しようと、真正面から問題に立ち向かうことです。私は、ドンキホーテよろしく、無謀の謗りを受けつつも、第二の道に向かおうとしています。
都市と地球環境問題に関して、私は2009年4月から本務となった総合地球環境学研究所で、多くの同志とともに6年間のプロジェクトを開始しました。都市や建築の歴史を研究している私がプロジェクトリーダーとなって、メガシティの地球環境へのインパクトを考えるものです。その中で、私はリーダーとしては、異なったディシプリンを統合してどのように都市を観察すべきか、どのような新しい提言をだすか、という統合化の任務を担うのですが、都市や建築にかかわる歴史家としては、歴史の持つ4つの機能−省察、洞察、教訓、継承−を十全に働かせて、今後の都市のあり方へ提言をしたいと考えています。そのためには、都市というものがなんであったか、人間の営みとの関係、環境とのかかわりなどについて、もう一度、人類の出現から現在まで、世界の都市全体をカバーするという、時空間双方からのマクロの視線が必要です。兼務としている東京大学生産技術研究所で私自身の考えを整理し深化させるために、「都市とは何か?」という本質的な問いについて、「都市=環境から見た人類1万年の歴史」から読み解く本講義を準備し、みなさんと議論したく考えています。
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ポスター: |
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こちらからダウンロードできます。 |
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1)毎回、読むべき論文、書籍(の一部)を、リーディング・パッケージとして、こちらで授業の一週間前までに準備します。
2)リーディング・パッケージは、主としてそのテーマに関する既往の論文です。毎回、十数本あります。日本語、英語のものが基本ですが、中国
語、韓国語、ロシア語の論文も含まれます。読めるひとはどんどん読んできてください。読めないひとのために、中国人、韓国人、ロシア人の
学生の方に、解説をお願いします。
3)参考文献のリストもあげておきます。各回のディスカッションをリードする方々、また、余力のある方々は、読んでおくといいでしょう。
4)リーディング・パッケージは、pdfで管理しています。
5)リーディング・パッケージの資料の中で、*がついたものは、各自購入してください。
6)連絡先:shin@iis.u-tokyo.ac.jp |
1.講義の進め方: |
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1)講義は、こちらが準備した文献(リーディングパッケージ)を事前に読み、担当者が解説をおこない、議論をリードする。
2)担当者は、毎回、2、3人で、一回の講義で読むべき文献を読了し、@資料についての解説をし、Aその資料の論点を抽出する、Bその論点
に沿って、議論をリードする。
3)授業出席者は、少なくともすべての文献に目を通し、授業中に担当者の進行をうけて、積極的に発言をしてください。
4)リーディングパッケージは、講義の一週間前までに2日間だけ村松研究室のウェブサイトにアップしますので各自ダウンロードしてください。 |
2.第一回目のための準備: |
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1)各自、パワーポイント3枚を準備し、3分以内で、自己紹介してください。
2)「都市と地球環境」というタイトルで、1000字くらいで自分の考えをまとめてきてください。
3)第一回のリーディングパッケージを読むこと。 |
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1)出席点 2)授業の担当に対する評価 3)授業への貢献度。
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