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「まちむすびプロジェクト」の始動 |
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■概要 2012年7月8日、東京大学生産技術研究所(中埜良昭所長)と福島県西白河郡矢吹町(野崎吉郎町長)は「震災復旧及び復興に向けた連携・協力に関する覚書」を締結いたします。これにより、これまで住民の手により少しずつ進められてきた「まちむすびプロジェクト」が本格的に動きだします。 「まちむすびプロジェクト」とは、矢吹町任意団体おむすび※1が主体となり、まち(矢吹町)の中の人々を結ぶこと、さらには、まちの内と外(近隣のまち)の人々を結ぶことで、震災後の福島県中通り地域の一体的再生を目指すプロジェクトです。地域住民が主体となった活動を、行政や大学の研究機関が技術・学術・人材・資金など、さまざまな側面からサポートしていく試みです。津波の被害にあった太平洋沿岸部に比べ、注目される機会も少ない福島県中通りにある矢吹町の持続可能な復興に寄与します。 ■プロジェクトの背景 2011年3月11日に発生した東日本大震災により、東日本一帯は壊滅的な被害を受けました。その後の復旧、復興に対して、内外の専門家、非専門家は多くの努力を重ねてきましたが、その視線の向く方向、活動の範囲は必ずしも均質ではありませんでした。津波の被害にあった太平洋沿岸部に比べ、内陸部は注目される機会が少なく、その被害の甚大さにもかかわらず、対応・対策が遅れてきました。 矢吹町では町内全世帯の半数を超える約3500戸が損壊し、中心商店街でも店舗や建物の取り壊しが相次ぎました。そこへ、原発から発生した放射性物質の不可視の影響が加わり、また、従来からの高齢化、町中心部の空洞化などの問題が重なったことで、この地域は複合的な打撃を受けているのです。 ■プロジェクトの特色 @ 再生と復興を同時に進めます まちの未来を長期的視点に立って考え、再生と震災復興を同時に進めることで、一時的な活性化を越えた持続可能なまちの姿を構想します。そのために、外部からの観光のみに依存するのではなく、住民の日常的な生活・生業そのものに重点を置いた活動を推進します。 A 地域連携型の地産地消圏を構築します 福島県中通りにあるまちは、いずれも小さく、それぞれのまちだけで自立するにはあまりにも微弱と言えます。そこで、それらのまちを連携させ、相互にひと・もの・智恵を融通しあう地産地消圏を構築することで、地域全体での安定的な発展を目指します。 B ネットワーク型の支援を行います 一方で、それぞれのまちは、中通り外の福島県、東日本、日本、アジア、世界とも、ゆるやかな形でつながっています。自律分散的ネットワークを駆使し、それぞれが有するさまざまな資源を提供しあうつながりを創出することで、新しい支援の形態に挑戦し、その有効性を検証します。 ■プロジェクトの目標と活動内容 短期・中長期の活動を通して、矢吹町民、行政担当者および支援者の「まち環境リテラシー」※2を育成し、中通りの地域全体へと広げていきます。 @ 短期目標(2〜3年) 短期的な目標として、矢吹町中心市街地の活性化を目指します。 1)建物修復・再生支援 ・大正ロマンの館(旧屋形医院)の改修・再利用 2012年4月〜 ・大木代吉本店(酒蔵)の復興支援 2011年5月〜 2)コミュニティ支援 ・地域案内人の育成 ・軽トラ市活性化 ・中高生のボランティア活動・課外活動の推進 2012年7月〜 3)記録作成支援 ・災害対応記録の見直し ・古写真の収集・展示 2012年7月〜 ・まちの風景の記録・展示 2012年7月〜 ・地域住民/地域行政担当者の「まち環境リテラシー」向上 A 中長期目標(5〜20年) 中長期的な目標として、福島県中通り沿いのまち(白河市、須賀川市、郡山市など)の一体再生 と、その持続的な発展を目指します。 1)地域連携に向けたインフラ整備支援 ・都市計画の推進 ・生業の振興 ・食文化の育成 ・地域医療の整備 ・地域全体の「まち環境リテラシー」向上 ■これまでの経緯と今後のスケジュール ・2011年5月: 大木代吉本店(酒蔵)からの依頼を受けて、復旧のため東京の建築家ユニットrisoが矢吹に向かい、被害を 受けた大木代吉本店の酒蔵を診断。 ・2011年8月: 東大生産技術研究所有志が参加し、矢吹の中心地区を見学。矢吹町役場と非公式に懇談。 ・2012年1月: 矢吹町任意団体おむすび設立。 ・2012年3月末〜4月末: NPO法人team Timberizeによるサイドハウスの設計と矢吹への設置。 ・2012年4月29日: 大正ロマンの館(旧尾形医院)のお掃除プロジェクトを実施。 ・2012年6月: 大正ロマンの館(旧尾形医院)の簡易的修復。 ・2012年7月8日: 矢吹町と東京大学生産技術研究所との覚書締結式。 ・2012年7月8日〜16日: 写真展「矢吹百年百景・大正ロマンの館展」の開催。
用語説明 ※1 矢吹町任意団体おむすび とは 東京大学生産技術研究所と矢吹町をむすび、「まちむすびプロジェクト」を推進する事務局です。矢吹町住民、行政職員と東京大学生産技術研究所関係者、各種専門家で構成されています。 「まちむすびプロジェクト」では発見された課題に対して、矢吹町住民/行政職員と外部の専門家が協力して解決をめざしますが、おむすびはそのマッチングを行います。 現状は任意団体ですが、今後は社団法人化/NPO化なども視野に入れ、活動を進めていきます。(代表:大木代吉) ※2 「まち環境リテラシー」 とは (1)まちにある/いる様々なこと、もの、ひとなどを観察・理解し、(2)いいまちとは何かを考え、(3)自ら責任をもってまちに関与する能力のこと。 復旧・復興という非日常の出来事への対処に加えて、日常のまちに対する関心・関与もまた重要です。 「まちむすびプロジェクト」は、(1)課題の発見、(2)解決方法の構想、(3)具体的な行動と次なる課題の発見を繰り返しながら、町民/行政担当者/支援者の「まち環境リテラシー」を育成します。
![]() 「まち環境リテラシー」の3つの能力 |
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